東日本大震災によせて




毎月11日、日本中で灯る復興のともしび。
ともしびプロジェクト 杉浦恵一さん(写真左) 清水隼人さん(写真右)



― 震災当時はお二人はどうされていたんですか?
杉浦:震災前にヒッチハイクで旅をしていて、東北も全県回っていました。震災時は地元である愛知にいたのですが、震災発生後はお世話になった東北に…という想いから、一週間後くらいにトラックで福島に入り支援を始めました。入れるかどうかもわからないにも関わらず、現地でトラックを借りて、物資を積んで行きましたね。当初は福島と決めずに走り始めたので、電話でいろいろ聞きながら福島のいわきに行ってほしいと言われて、物資を置いて来ました。そこでちょうど原発も爆発したタイミングで、本当にわけがわからない状況でした。津波の被害もあって、原発のことだってよく分からない状態で、そんな状況の中に入って行ったの「できることがあればなんでもします」っていうスタイルでした。
別に地元に戻ってしないといけないこともなかったので、できることがあればしようかなというのが今まで続いている感じです。また、まだできることはあるなと思っているので現在まで活動を続けている感じですね。

清水:僕も現地に入ったのは一週間後くらいだったんですけど、それまでは東京にいて、同じ様にテレビでしか見ていませんでした。実際にフードバンクで食料品を集めているところのものを集めてて、人とトラックが無いから誰かいないかって呼び掛けに手を挙げて行ってたんです。それで一週間後に通行証をもって、もう現地までいけたので、その状況を見たのが一番の今の僕を動かしている原動力かなと思いますね。日本とは思えないような光景に、できることがあればやらなくちゃいけないと強く思いました。

― そういった震災直後の行動から、現在の活動に繋がった経緯をお聞かせ下さい。

杉浦:現地に拠点を移していろいろな支援活動をしていたんですが、2011年の夏にある仮設住宅に物資を届ける活動をしていて「これから何が一番心配ですか?」というアンケートを取った際に「忘れないで下さい」という言葉をすごく聞きました。
当時はピンと来なかったのですが、「忘れない」というのを表現できる何かがないかなと思った時に、キャンドルと、FacebookというSNSを使って表現しようと思い付き、「ともしびプロジェクト」を始めました。そこからずっとキャンドルのプロジェクトを毎月11日にやっています。だんだんニーズも変わってきて、自分たちでキャンドルを作って販売し、それを気仙沼の雇用に繋げる活動もしています。

清水:僕は当初、杉浦みたいに一か所に決めて活動をしていたわけではなく、当時会社員だったので土日を使って物資をトラックで運んでいました。気仙沼、宮古、山元町など、いろんな所に回っていたんですけど、その活動をしながら週末だけでなく、現地でできることがあるだろうと思い、会社を退職し、たまたま来たのが気仙沼だったんですね。
そこで杉浦と出会って、「ともしびプロジェクト」やスポーツを通してのチャリティ活動を組織化し、活動を続けています。

― お二人が出会われたのはそういった支援活動の最中だったんですね。

杉浦:そうですね。支援に入って、気仙沼で初めて会って…。
結構何かと一緒にやることが多かったんですよね。当時はワインバーを二人で一緒にやってたんですが、そこから話盛り上がって、一般社団法人やります?みたいな。

清水:とりあえず法人格作ろうっていう話になって、どうしようと聞いたり調べたりした結果、社団法人が一番早くできるっていうことで立ち上げました。

― お二方にとも実際にこうして現地に移られて活動されてるわけですが、具体的な活動内容をお教え下さい。

杉浦:2011年11月11日に「ともしびプロジェクト」を始めました。
灯したキャンドルの写真にメッセージを添えて、Facebookに全国から投稿して下さいというプロジェクトです。現在、支部を名乗って灯してくれている団体が30カ所以上あって、上海とパリにも最近支部ができました。

清水:12年の夏から商品を作ろうという動きになり始めました。現在現地の気仙沼の人を二名雇っているんですが、手仕事でできるようなキャンドル制作の仕事を主婦の方を雇ってやるっていうことを目標にしています。今仮設の一軒家を、津波の被害があった一軒家を直して、仮設の工房としてつかわせてもらっている状態なんですけど、今この地区にあって、どんどんかさ上げが進んでいってるんです。そこもかさ上げの地区に見事当たってしまい、移転しないといけなくて、今年度中の3月くらいには出て下さいっていう話なのでどこか違う場所に、今南町に移設しようという動きをしています。

― 周囲の反応はいかがですか?

杉浦:「忘れないで下さい」という言葉を耳にして夏くらいに思いつき、何かできないかと考えていたんですけど、当時の支援のニーズも多様化してて、募金しても届かないとかいう噂が流れたりもしていました。何をしていいかわからないから何もしないっていう人がたくさん増えていたんですよ。
何か関われることがあれば、どんどん関わっていけるし、きっかけの一歩があれば東北にもっと関われるんじゃないかっていう想いがあって、そういう人に向けて、キャンドル灯すだけでもして下さいっていう発信をしています。僕も当初ピンと来なかったんですが、現地では本当に忘れないでほしいっていう言葉がだんだん重みを持って来ました。忘れちゃいけないっていう強い想いをみなさん持っているので、それをどんどんキャンドルを通して、表現していけたらというプロジェクトです。

― スポーツを通してのチャリティ活動についてもお聞かせ願えますか?

清水:きっかけは結構単純で、沿岸部のチームを呼んでみんなでフットサル大会しようと思ったのがきっかけです。僕もサッカーをやっていたので、友達からボランティア活動なものをしたいけど、できればボール遊びとかでできたらいいねって話になって、「じゃあコーチとして来て下さい」とお声を頂きました。
地元の子供たちを集めてサッカー教室をすれば子ども達も楽しい、多いときは10人くらいコーチが来ます。コーチの方々も現地を見る機会になるし、子ども達と楽しくサッカーできるっていう双方の楽しみがあるからそれを是非やりたいよねという話になり、フットサルクリニックを3か月に一回くらいのペースでやっています。

― サッカーに限らず他のスポーツでもやっておられるんですか?

清水:はい。面白いもので言えば、相撲ですね。とある相撲部屋の方々がこの近くに来るので、このタイミングで子ども達と一緒に相撲したいというお話を頂いて、子ども達を集めて実際に相撲大会をしました。あとは健康体操を仮設住宅の方々と実施したりもしています。高齢者の方はどうしても運動不足になってしまうので、仮設住宅の中でできる健康体操をおじいちゃんおばあちゃんと一緒にやりました。

杉浦:サッカーだけでなく、お話を頂ければ仲介役として何でもやってますね。

―子ども達を相手に行っている活動が多いように思いますが、どのような想いがあるのでしょうか。

清水:単純に子どもが喜ぶと親だけでなくおじいちゃん、おばあちゃんも喜ぶじゃないですか。大人だけが喜ぶようなことをしても、子ども達はそんな喜ばない。そう考えると、子ども達が喜ぶ姿が周りに与えるエネルギーってすごく大きいですし、そうすることで精神的に元気になったりしますし、そういう効果はすごく大きいかなと考えています。

杉浦:僕は風化が進んでいくのはしょうがないのかなと思うんですけど、風化を止めるっていうとなんか違うのかなと思っています。関われる人を増やすきっかけを作るような、そんな感覚でやっています。より多くの人に関わってもらえるように少しでもアクションできたらなと思っています。キャンドルのプロジェクト自体は、キャンドル灯してメッセージを送るだけなので入りやすいですよね。そういう所からいろんな形で関わってもらいたいなっていう想いがあります。

― 今後どういう風に活動を展開していきたいかなど、長期的なスパンで後世に伝えるというビジョンはありますか?

杉浦:もちろんです。毎月11日に気仙沼沿岸部でキャンドルが灯るイベントを残していきたいなと考えています。例えば3月11日にキャンドルが灯るっていう習慣を残していきたいですね。100年後になぜこの町で、いろんな場所でキャンドルが灯ってるのか、そこから東日本大震災があったという事実を知るきっかけに繋がったらと思っています。

清水:風化を食い止めるとか、忘れないようにしてもらわなきゃとか、そういう感覚ではなく当たり前のようにやることが大事ですね。「なんで灯してるの?」って子ども達に聞かれた時に、過去こういうことがあったよっていうのを被災地だけじゃなくて、いろんなところでそれが伝えられていくようなきっかけにしたいなと思っています。キャンドル通じて、後世に震災があったよということを震災大国の日本でも根付かせていきたいです。

杉浦:今はどちらかというと鎮魂という意味合いが強いんですが、鎮魂はもちろんなんですけど、そこから復興していく日本を皆さんこれから見て行くことになると思います。そこに生まれた鎮魂と希望の明かりという形で全国に灯せたら素敵ですよね。




杉浦恵一さん 27歳
清水隼人さん 30歳
一般社団法人 Nr.12を2012年12月12日に設立。サッカーでいう12人目のプレイヤーとしてともしびプロジェクトをはじめとした慈善事業、および経済活動、シェアハウスの運営などを通して復興支援を行うことを目的に活動。

【リンク】
ともしびプロジェクト
ともしびプロジェクト Facebookページ
一般社団法人 Nr.12






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